第23回IPBセミナーシリーズ

[セミナー]第23回 IPBセミナーを以下のように開催します。
日時:2021年8月31日 (火) 13:00-
場所:オンライン
講演者: 吉田 恒也氏(筑波大)
タイトル:拡散現象・進化ゲーム理論におけるトポロジカル端状態
参加希望の方は、登録をお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfZzAoAWL0JtGTxK5KAZbtAYXalqHIFKG_PNsdiXXOcmKprIA/viewform
Abstract:
 トポロジカル絶縁体・超伝導体の顕著な性質として端状態の発現が挙げられる[1,2]。これはバルクの波動関数のトポロジーによって誘起されており、摂動に対して頑強である。端状態は整数量子ホール系で見られる特異な輸送特性や、新奇な素励起の起源にもなっており、これまで量子系のトポロジーという観点からの研究が集中的に行われてきた。
 以上の量子系における発展の一方で、光学系においてもバルクのトポロジーに起因した端状態の発現が明らかとなっている[3]。この事はトポロジカルな端状態は量子系に限らず発現する事を示唆する。また、量子系を越えたトポロジカル現象の探索はトポロジーという観点からの統一的な理解に繋がり、新奇デバイスの開発の上でも有用となり得る[4]。
 これらの背景の下、本研究では(i)拡散現象[5](ii)進化ゲーム理論[6,7]に注目しトポロジカル現象の探索を行った。(i)拡散現象においては離散化された拡散方程式と電子系の強束縛模型の対応関係を明らかにすることで、一次元の拡散現象において端状態がみられる事を指摘した。(ii)進化ゲーム理論におけるトポロジカル相の研究ではじゃんけんゲームのプレイヤーの運動と電子系のサイクロトロン運動の対応関係に着目し、カゴメ格子状の系で一方向にプレイヤーが伝搬する事を明らかにした[7]。セミナーではトポロジカル絶縁体の簡単な紹介の後、研究の詳細について議論する。
[1] M. Z. Hasan and C. L. Kane, Rev. Mod. Phys. 82, 3045 (2010)
[2] X.-L. Qi and S.-C. Zhang, Rev. Mod. Phys. 83, 1057 (2011).
[3] F. D. M. Haldane and S. Raghu, Phys. Rev. Lett. 100, 013904 (2008).
[4] G. Harai et al., Science 359, 6381 (2018).
[5] T. Yoshida and Y. Hatsugai, Sci. Rep. 11, 888 (2021).
[6] J. Knebel, P. M. Geiger, and E. Frey Phys. Rev. Lett. 125, 258301 (2020).
[7] T. Yoshida, T. Mizoguchi, and Y. Hatsugai Phys. Rev. E 104, 025003 (2021).